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奈良町は、条坊制の名残をとどめ、細い街路に沿って伝統的な町家が軒を連ねる歴史的市街地である。町家には、「通り庭」と呼ばれる土間があり、それに沿って、「店の間」、「中の間」、「奥の間」と呼ばれる3つの部屋が並んでいる。これらの部屋はTPOに併せてつないだり切り離したりすることによって、店舗、作業場、居間としてフレキシブルに活用できる。「坪庭」を挟んで、さらに奥に「離れ」もしくは「蔵」を配置するのが一般的である。各家の「通り庭」や「坪庭」は、ほぼ位置が揃えられており、お互いの日照や通風を妨げないように工夫されている。建て込んだ街中でも快適に暮らす為に、住民相互の暗黙の了解が機能していたのである。 かつてここでは、通りに面した表で商い、中の間で暮らし、奥で生産するという職住近接で無駄のないエコロジカルな生活スタイルが確立していた。現代風に言えば、町家はSOHO(スモールオフィス・ホームオフィス)であると言える。今後、さらに社会のIT化が進めば、女性や高齢者が働きやすい、SOHO的な住形態が見直されるのではないだろうか。
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また、奈良町にはさまざまな職種が混在し、老人にも子供にもそれぞれに役割があった。 現代社会は職住分離が進み、昼間と夜の人口の差が極端で、構成人員の年齢層が偏った町が多いが、町をもっと安全で楽しく、活気のあるものにするためには、かつての奈良町に見習うべき点も多いのではなかろうか。 昨今は、伝統的な町家景観を求めて、奈良町を訪れる観光客も増加してきた。しかし、奈良町の魅力は、外観ばかりではない。その奥にある、人々の暮らしや人情、そして生活の知恵にも触れる機会を持ってほしい。
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